美術による学び研究会 東北エリア大会に参加してきました。
宮城県蔵王町が会場です。
今回の学び研は「つながり」がテーマです。

三菱一号館美術館の前田さんの発表「AIトーク」の実践です。
AIトークとは、ART Inquiryー探求的な鑑賞です。「Inquiry Based Appreciation」グッゲンハイム美術館やMoMAなど海外の美術館に共通する美術鑑賞の方法。
作品を数点(3点ほど)選び、対話による鑑賞やアクティビティを織り交ぜ、学際的なテーマに基づいて鑑賞する。
詳しくは奥村先生が記した解説があるのでそちらをご覧ください。
https://www.nichibun-g.co.jp/data/web-magazine/manabito/art/art034/こちらも良い記事です。国立近代美術館の主任研究員、一條さんのインタビューです。
https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/kansho/01/detail01.html学び研では実際に模擬鑑賞を行いながらどのようにして行うか実演してもらいました。
作品の情報はいつ入れるのか・・などいろいろ質問が出ましたが・・・。作品と鑑賞者の関係、自分ごととして鑑賞することにより新たな価値が生まれることを狙っているのだと思います。
今度授業でやってみようと思います。

私はというと、「レタリング」の授業に対する批判的な見方と、育むべき資質・能力は何かについての一つの提案を行いました。
「アルファベット考えた奴、誰だ!?」という生徒の発言から始まったこの言わば「探求活動」笑。
文字の起源を明らかにし、文字の歴史を感じながらその役割や伝達することについて考える授業にするものです。
参考まで(美術手帖誌上授業ワークショップの模様)
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/19782?fbclid=IwAR0Ue-rLyKzKOt73ltjcTwTQeTuF0bLPeT_x2tLZe2r_d0Kj0DPD2ogWeYs昔は「永」の字を明朝体やゴシック体でキレイに描き、ポスターカラー等ではみ出さずに塗る!という授業がよくあったものです。
しかも、全国的に展開されていました。まあ、時代は昭和ですから、授業時数もあり、しかもパソコンなんか普及してなかったし、ポスター描く事前指導的な意味もあっての授業だったのだろうと思います。
で、、、今の時代は?ということです。
この」レタリング」という授業は今もなお全国的に行われている題材であります。
一体どんな力を身につけるのか。どんな見方考え方を働かせるのか。今一度考えてみるべきだと思いました。
結局のところ、「typography」を学ぶべき・・・という見解に至りました。
これについては論文にて詳しく書いてみたいと思います。
で、行なったのは「別の惑星の文字をつくろう」というワークショップです。
休憩後の発表であったため、皆さんゆっくりやりたい人だけやればいいかな・・・と簡単に考えていましたが、蓋を開ければみんな無言で没頭しておりました。
美しさにこだわりを持った民族の住む星。「平和」という意味を表す文字を、既存の文字を使って生み出すワークです。
文字を分解することによって、これまで認識していた記号は、単なる「形」となり、それらをつなげたり、重ねたり、離したりすることによって新たな見方が広がり、創造的な活動になっていくというものです。
だいたい20分くらいのワークでしたが、出来上がった作品は本当に刺激的で、歓声やら驚きの声やら、ため息?やらが聞こえてきました。

どんな民族なんでしょうか?想像してみてください。
私は、お祭りごとが好きでいつもワイワイしているようなラテン系ノリな民族なんじゃないかな・・・と。

こちらは、文字を重ねています。横一列に並べる、というのは地球人の概念ですから、別の惑星であれば重ねて表すことだっていいんですよね。びっくり!です。
さらに、

平面じゃなくてもいいじゃん!笑
文字をどのように認識するか、漢字のように表意文字であれば立体的になっている方がより伝わりやすいのかもしれません。
こうして様々な文字が生まれるのですが、それが本当に面白い。既存の文字を壊すことで、意味が失われ記号が単なる形に変化する驚き。そしてその形を自分のイメージによって再構成することで新たな意味を持った文字(記号)になる面白さ。さらに、自分以外の人が持つ「美しさ」への追求が相まって、これまで考えてもみなかった形に出会う面白さ。
こうしたことが頭の中で起きているのではないかと思います。

正解は自分の中にしかない。そんな授業を日々行う図工・美術。
夜の会でもそのことについて熱く話し合っておりました。
子供達は常に決まった正解にたどり着くために頑張り続けています。日々出される課題について正解はなんなのか、正解しているのか不安になりながらも、毎日毎日。
自分で課題を見つけ、その課題に向かって自分なりの方法で試し、失敗し、その失敗を克服するためにまた新たな方法を考え試す。そうして作り上げた自分なりの答えが、周りの人に驚きを与えたり、見方や感じ方も変容させる。
これが図工・美術の日常です。
という話をしていたらこんな記事が流れてきました。
美術手帖のウェブサイトで以下の記事が載っています。
『東大が「芸術」を求める理由。「東京大学芸術創造連携研究機構」はなぜ誕生したのか?』
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/20038「日本の大学に入るまでの教育は、解答があることを前提とした問題があり、いかに論理的に効率よく解答に至るかが重視されます。しかし現実社会には『答えがあるかどうかわからない問題、答えがない問題』がたくさんありますよね。芸術の創造にも基本的に答えはありません(ただし、芸術の解釈には、変化することもあるにせよ、もっとも妥当と言えるものがあることも少なくありません)。実技では創造性を養うことと同時に、答えがない状況で何ができるのかを考え、体験することに意味があると考えています」。私たち美術教師も追い風に乗って行きたいのですが、「教育」「学び」ということを忘れずに本質を捉えることをしっかりと行なっていく必要があります。
研究会はいいですね。脱皮していく感じです。
この夏、東北で開催される研究会です。
第64回東北造形教育研究大会青森大会http://www.hachinohe.ed.jp/zoukei/index.htmlこちらでも発表させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
posted by 田中真二朗 at 19:17| 秋田 ☁|
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