2011年11月13日

神岡 こどものまなざし展

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11月3日より開催していた「神岡こどものまなざし展」は本日、無事に会期を終えました。本当に多くの方々に見に来ていただき、嬉しい限りです。
中学校で実践している、「地域」を題材とした作品たちを地域の方々に観てもらいたい、という思いでず〜っと構想を練っていました。しかし、3.11の震災を機に思いは変わります。「地域」や「ふるさと」との意味が変わったように感たのです。今一度、「地域」「ふるさと」って何だろうという疑問を「図工・美術」で考えようと思いました。
私の企画に、すぐ賛同してくださった地域の学校さん、こども園さん、そして地域の作家さんたち。多くの助けを得て、地域の力で創り上げた展覧会だったと思います。

「こどものまなざし」の向こう側へ探検しよう。そんなテーマを掲げて、地域の方々と、こどもの今・地域の今を見つめながら、その先の未来を考えていきたいなと思っていました。結果、たくさんの方々と「こどものまなざし」のむこうにある「希望」を共有できたことを大変嬉しく思っています。

以下、本展覧会の簡単なレポートです。

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正面から入るとすぐ、今回のポスター(特大版)が出迎えてくれます。中央に描かれてあるのは地域の伝説に登場する「おいだらぼっち」という巨人です。こども園の先生と園児たちが描いた作品を今回のシンボルキャラクターにしました。

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この展覧会の象徴的な作品「神岡 希望の木」

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神岡地区のこどもたちほぼ全てに描いてもらった願いや思い。「こんな神岡になってほしい」や「神岡のここがすごい」など一人一人に考え、書いてもらいました。それらを1本のツリーに仕上げ、会場の中央に置きました。

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この木を囲む、こどもや大人、お年寄り。みんな良い笑顔で語り合う姿がとても印象的でした。


こども園ゾーン(2歳〜6歳)
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すくすくだけっこ園(以下だけっこ園)の夢のある教育活動を是非紹介したいと思っていました。
地域に伝わる「おいだらぼっち」という巨人の伝説。全国各地にもある「でいだらぼっち」などと似たようなものだと思います。だけっこ園では様々な活動に「おいだらぼっち」が登場します。たま〜に届く「おいだらぼっち」からの手紙をお借りし、展示させてもらいました。

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米袋を加工し、味のある字で書かれた、方言の手紙。園児たちの日々の営みを神岡の象徴:嶽山ダケヤマからいつも見守っていてくれます。みなさん、分かりますか?

「見えないものを信じることの大切さ」

悲しいときや寂しいとき、発表会などで緊張しているときなどに勇気や元気を与えてくれる、そんな手紙です。見えないけれど、信じている。信じているからこそ、力が湧いてくる。いつも見守っていてくれる「おいだらぼっち」の存在は、神岡の宝だと思います。

この手紙が届く(意図的な仕掛け)と園児たちは、「おいだらぼっち」に会いに散策に出かけるのです。地域の自然に包まれながら、すすきの迷路をくぐり、アケビのツルを見つけ、カマキリの卵を発見し、最後には「おいだらぼっち」の足跡を発見します。そのときの思い出を描いたのが下の絵です。

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みんな足跡を描いているのが分かりますが、一人一人アプローチが違っています。山を登っていろんな発見をした思い出を描いている子、そのときに食べたおにぎり(鮭?)がおいしかったんだろうなと思わせる作品、足跡を画面の中央に大きく配置している子、嬉しかったんだろうな、、。こどもの絵には不思議なパワーが秘められています。見ていて、元気をもらえます。

この他にも、リンゴ狩りの絵や運動会の絵、芋掘りの絵などたくさん展示されています。

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リンゴ狩りの絵なんですが、一人一人、リンゴの木の描き方が違います。


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何度見ても飽きない。いろんな発見があります。そんな感想を述べてくれた中学生。会期中、各クラスで鑑賞会を実施しました。幼児の絵から見ていくといろんな発見ができるよ、、、と。感想には「人間の進化が目で分かった」「大きくなるにつれて、バランス感覚が身に付く」「自分の小さいころを思い出し懐かしい」「形で描けない分、色で表現している」「感情が思いっきり伝わってくる」「今度から自分も描きたい思いを大切にしたい」などなど、多くの感想が寄せられました。北海道の山崎先生がおっしゃっていたことをふと、思い出しました。この時期に幼児の絵を見せることは大切です。発達について学ぶことも大切です。改めてそう思いまいした。

中学校のご当地題材

各学年で取り組んでいるご当地題材。デザインの基本、制作行程を学びながら、「地域」「ふるさと」をじっくり考え、見つめ直す題材です。

2年生「神岡 創作和菓子」
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「神岡」の名産や名所などはある程度分かってきている段階だったので、今回は季節感や気候、雰囲気といったものを形や色で表すことに挑戦させました。しかし、季節の折々に咲く花が分からなかったり、地域特有の気候もよく分からない、その季節の雰囲気(気温や湿度、光の感じ)が分からない、、、と話し合ってもあまり出てきませんでした。そこで、登下校中、土日の部活の帰り道など色んな所で「神岡」を観察するように宿題を課しました。
普段何気なく生活している「地域」ですが、よ〜く観察するといろんな発見があります。生活や環境の中の造形のよさや美しさを感じ取らせる、よい機会になりました。

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是非、地域のお店で商品化してもらいたい。けっこう色んな人に言われました。生徒も喜びます!

「おらほのまちのマスコットキャラクター」

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「ゆるさ」「かわいさ」「誰からも愛される」というテーマで取り組んだ題材です。これらの言葉の裏に秘められた莫大な経済効果、観光客倍増、金銭的なことも伝えました。ただキャラクターを創って終わるのではなく、今後どのようなPR活動をすればよいか、どんなグッズを作り販売するかといった戦略も考えさせました。最後のプレゼン大会は大いに盛り上がりました。

会場風景

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「神岡かるた」の完成
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展覧会後にはだけっこ園や地域のデイサービスセンターに寄贈します。こどもたちの作品が地域に残り、活用される喜び。みんなに遊んでもらって、もっと神岡を好きになってもらいたいと思います。

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かるたの原画を用いて、ステンドグラスも制作しました。一目で分かる神岡の名所や名産。

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今年度閉校になる小学校の作品。授業参観の時に親子で一緒に描いた「学校の絵」。大好きな学校、お世話になた学校。親も通っていた学校。いろんな思いで描いたのでしょう。それぞれの思いが伝わってきました。書いてるコメントもぐっときます。


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頭足人、、、温かい気持ちになりますね。


本当に多くの方々と、「地域」「ふるさと」についてのこどもたちの思いを共有できました。

「こどものまなざし」のむこうには明るい希望が見えました。この希望を大切にしながら、大人もこどもも、一緒になって「ふるさと」を形づくっていければいいなと感じました。

この展覧会で、まなざしのむこうに見えるものが人それぞれ、世代にごとにあったと思います。「地域」「ふるさと」の今、未来を多くの人と語り合う機会をまた来年ももちたいなと思いました。


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最後まで読んでいただきありがとうございます。








posted by 田中真二朗 at 12:42| 秋田 ☔| Comment(5) | 美術の授業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
学び研MLをはじめ、複数のMLに送信しましたが、県大会盛会に終えることができました。
今回の大会のテーマが地域を見つめる題材だったこともあり、改めて地域の素材や人材、文化等見つめなおすことができました。

地域を見る、探る。児童・生徒たちは当たり前のように見ているのでしょうが、課題に取り組む上で、さらにアンテナを張って地域を見つめるきっかけになったことと思います。
なお、先生の授業実践、展示方法がステキですね。
Posted by haku at 2011年11月13日 18:03
Hakuさん
コメントありがとうございます。
県大会お疲れ様でした。テーマが地域とは何ともタイムリーなこと。
今回は初めての取り組みだったので色々と大変でしたが、是非とも二回目やりましょう!とたくさんの方から言われました。次は色々なところでスムーズに進んで行きそうです。
展示方法は、夏休みの時間のある時にコツコツと考えながらつくっています。1番いい状態で見せたいし、見た時の感動を大切にしたいと考えています。こういったコメント本当にありがたいです。次のやる気につながります!ありがとうございました。
Posted by Shinjiro at 2011年11月13日 18:44
田中さん、本質を追求するような展覧会だと思います。ブラボーです!コメントに書ききれないのでブログ記事に書かせていただきました!
Posted by 山崎正明 at 2011年11月23日 11:13
山崎先生
ブログでの紹介ありがとうございます。今回やってみて、確かな手応えを感じました。これからも地域とともに美術教育を考えていきたいとおもいます。
Posted by shinjiro at 2011年11月23日 18:16
田中さん、地域と共にというのが、またいい!!
Posted by 山崎正明 at 2011年11月23日 18:18
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